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『形』から信号語を見抜こう! [英語長文]

レトリックを読み取っていくさいに強力な手掛かりとなるのが、『信号語』です。パラグラフ・リーディングは、Discourse Markerと呼ばれます。カタカナで「ディスコース・マーカー」と呼ばれたり、日本語に訳して「談話標識」と呼ばれたり、英語の頭文字を取って、カッコよくDMと呼ばれたりもします。

流派によっては(笑)、「チャンネル・マーカー」、あるいは「論理マーカー」と呼ばれたりすることもあります。

呼び名はちがっても、すべて同じです。文字通り、論旨の「標識」「信号」となるものです。

パララグラフ・リーディングの本では、これらを「順接マーカー」「逆説マーカー」「対比マーカー」などと分類し、かたっぱしから暗記させるのですが、信号語は無数にあります。

やはり、『形』から信号語を見抜き、そのつど『働き』=『機能』を判断していくのがベストだと思います。


【信号語】

文頭に立つ・・・・ FANBOYS 副詞・副詞句 序数詞⇒first/second/third


そして、こうした「信号語」には△の記号をつけていくことにします。

実際の英文でみてみましょう。

①My new apartment house is very comfortable. ②First,it takes less than a few minutes to walk to the nearest station. ③Besides,a big department store is just around the corner. ④On top of that,the landlord is alwayas with us to manage about chores.

どれほど短い英文でも、このように1つしかパラグラフがなくても、まずパラグラフの冒頭に①などの数字をうってください。これがロジカル・リーディングの最初の、そして必須の作業です。

つまり、これは「クレームがいくつあるか」の確認です。3つのパラグラフから構成されている英文なら、おおまかに「ああ、クレームが3つあるんだな、そしてその3つが組み合わさって、さらに1つの大きいクレームをなしているんだな」ということがわかるわけです。

①がクレームです。論証責任は、How and why comfortable?「どのように、なぜ快適なのか?」です。「クレーム⇒データ」の『演繹型』ですね。

信号語は、First『第一に』、Besides『さらに』、On top of that『なおそのうえに』の3つ。

これらの信号語から、レトリックは『列挙』で、異なるデータを3つあげることがわかります。

複文構造はなく、単文(SVが1つだけの文)ばかりですが、念のため、文構造を見ておきましょう。





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①My new apartment house(S) is(V) very comfortable(C). ②First(M),▽(仮S)it takes(V) less than a few minutes(O) ▽(真S)to walk to the nearest station. ③Besides(M),a big department store(S) is(V) just around the corner(C). ④On top of that(M),the landlord(S) is(V) alwayas with us(M) to manage
about chores(M).




(訳) ①私のマンションはとても快適だ。②まず、最寄駅までは、歩いて2,3分もかからない。③さらに、大きいデパートがすぐそこにある。④なおそのうえに、あれこれ世話をするために、大家が常駐してくれている。

Words and Phrases
・comfortable 形容詞 「快適な」
・(just) around the corner  「(場所的・時間的に) すぐそこに」
例⇒The entrance exam is just around the corner.  「大学試験は目前に迫っている」
・landlord 名詞 「大家・家主」
・chore 名詞 「雑用」

②は、itとtoに▽をつけます。『仮S・真S』で、不定詞の名詞的用法ですね。④のto manageも不定詞ですが、これは「~するために」という「目的」の意味の副詞的用法です。


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ロジックの基本は、演繹型・帰納型・反論型の三パターン [英語長文]


あらためて確認すると、ほとんどの英文では、ワラントは読み手とのコンセンサスとして、省略されてしまっています。

したがって、実際に読み取らなければならないのは、論文を構成しているたった1つのクレームと、それを論証しようとするデータです。

実際の論文では、三角ロジックは、基本的に次の3つのパターンで応用されます。

三角ロジックの基本的な運用パターン

①演繹型(正三角形):クレーム⇒データ

②帰納型(逆三角形):データ⇒クレーム

③反論型(ひし型):対立命題⇒クレーム⇒データ

1つのパラグラフには、原則として1つの「イイタイコト」=「クレーム」が含まれています。

①の『演繹型』は、そのクレームを第1文に置くパターンです。いわば正三角形のロジックであり、英語では最も多い論理展開です。

②の『帰納型』は、クレームを最終文に置く逆三角形のパターンです。

③の『反論型』は、本来なら演繹型のバリエーションとして分類すべきなのですが、ここではわかりやすく、あえて別の型とします。最初に『対立命題』をかかげ、それに反対する形で議論を進めていくパターンです。途中にクレームを置く、いわばひし形の論理展開です。

今回は演繹型をしっかり学習することにしましょう!


すでに述べたように、演繹型は英語で最もポピュラーな論理展開です。ですから、パラグラフ・リーディングの本などでは、『第1文がトピック・センテンス(主題文=イイタイコト)であることが多い』などと説明されているのですが、クレームになるためには厳密な条件が必要です。前に『論証責任』の定義を学びましたよね?

ただし、クレームになるためには、さらに2つの条件があります。

クレームになるための2つの条件

①現在形であること
②スケルトンに論証責任があること

①のとおり、クレームは『現在形』で述べられていなければなりません。日本語では、『英語は私には難しかった』など、過去形を使って意見を述べることがよくあります。

しかし、英語では、so what?『だから何?』と一蹴されてしまいます。

英語では、過去形はクレームを述べるための『足踏み』にすぎません。「だからなんなのか?」。「しかし今は簡単だと思う」のか、「だからフランス語の方がいいと思う」のか、今はどう思っているのか・・・・・それを述べなければならないということです。

②の条件の『スケルトン』とは『骨子;骨格』などという意味で、具体的には従属節や副詞句を除いた部分のことです。次の英文ならどうでしょう。

(A) Mac is better than Windows.  「マックはウィンドウズよりよい」

(B) My father says that Mac is better than Windows. 「父は、マックはウィンドウズよりよいという」



(A)はもちろん、How and why better?「どのように、なぜいいのか?」を論証責任とするクレームになります。

ところが、(B)の場合は、My father saysの部分がスケルトンですから、クレームにはなりません。「私の父がそう言っている」と、ただ事実(データ)だけを述べています。

クレームかどうかを判断するためには、英文のスケルトンがわからなければなりません。そのためにも、今回の講義の「木のロジック」で学んだ複文構造はとても大切です。必ずしっかり見極められるようになりましょう。


次は、レトリック=データの出し方に関して説明します!





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英文にはたった1つの「イイタイコト」=「クレーム」があり、残りの部分はすべてそれを論証するためのデータ(具体例)です。

そのデータのあげ方、つまり論証パターンのことを『レトリック』と呼びます。レトリックには、次のようなパターンがあります。

実際の英文では、1つのレトリックを単独で用いるということはめったになく、いくつかのレトリックを組み合わせて用います。



レトリック(データのあげ方)のパターン

①エピソード ②列挙 ③定義・分類 ④因果関係 ⑤引用 ⑥時系列 ⑦対比・対象 ⑧比喩

①の『エピソード』は、自分自身の体験談や第三者のエピソードを物語風に述べるレトリックです。

②の『列挙』は、複数のデータを列挙するレトリックです。同じワラントから複数のデータを引き出すこともあれば、データそれぞれに、異なるワラントを用意しなければならないこともあります。

③の『定義・分類』は、「『便利』とは『早い』ということ」というふうに、自分なりの定義を与えるレトリックです。

④の『因果関係』は、why-becauseとも呼ばれます。文字通り、因果関係を説明するレトリックです。

⑤の『引用』は、議論のテーマとなっている分野の第一人者の見解を引用して、自分の考え(クレーム)を強化するもので、学術論文では最もポピュラーなレトリックです。引用元が権威ある学者の見解であればあるほど、クレームの説得力は増します。

⑥の『時系列』は、過去から現在に至るまで、経緯や歴史をたどって説明するレトリックです。

⑦の『対比・対照』は、対照的なデータをあげて比較するレトリックです。

⑧の『比喩』は、たとえを用いるレトリックです。比喩には、『隠喩』(メタファー)と『直喩』の2つがあります。

「瞳はダイアモンド」のように、ダイレクトに言い切ってたとえるのが隠喩。「ダイアモンドのようにきれい」のように、もって回ってたとえるのが直喩です。

なぜか日本語では、隠と直のイメージが逆になっています。「隠喩」も「直喩」も明治時代にうまれた訳語ですが、もうすこしうまい訳し方はなかったのでしょうか。

ちなみに、隠喩は、使われる場所によってはクレームになります。隠喩がデータになったりクレームになったりするのは、法助動詞や相対的形容詞が用いられる場所によってクレームになったりデータになったりするのと同じです。ただし、直喩はクレームをつくりません。

ここまでのまとめをしておきましょう。
実際の入試英文では、ワラントは、ほぼ筆者と読者のあいだのコンセンサス(背景知識)として省略されています。ですから、読み取らなければならないのは、筆者のクレーム(主張・意見)とデータ(レトリック)です。

つまり、ロジカルに読むとは、英文のクレームをおさえながら、その論証(How and why?)を追っていく作業ということになります。

このように言うと、わけなく聞こえますが、問題はレトリックの読み取りです。

実際の英文では、howだけが論証されたり、whyだけが論証されたり、あるいは両方が別々のパラグラフで論証されたりと、さまざまです。

論証責任によっては、howとwhyが結局同じことだったりします。

つまり、クレームを見つけた段階で、それがどのように論証されるか―どんなデータがあがるか―を予測することはできません。論証責任がどのように果たされるかは、レトリックしだいだということです。
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学問とは、論理を使って読み、書き、聞き、話すこと [英語長文]

それでは、ここからは、鳥になって宙高く舞い上がり、英文全体の「論旨」=「森のロジック」を見てみることにしましょう。

前に三角ロジックについて説明しましたが、それにもう一つ追加しておさえておきたことがあります。
それは、「データの内容が社会的なコンセンサス(合意事項)である場合、ワラントは省略される」というルールです。

たとえば、次の2つの例を見てください。

例1
クレーム:『彼はかっこいい』

データ:『キムタクに似ている』

ワラント:『キムタクはかっこいい』

例2
クレーム:『黒人差別はよくない』

データ:『公民権法に反する』

ワラント:『公民権法はみなが従うべき法律である』



例1の場合、『キムタクはかっこいい』ということは、おそらく現代の日本人にとっては、全世代のコンセンサス(合意事項)でしょう。

ですから、話し相手が日本人である場合、あるいは日本人読者を想定して文章を書いている場合、わざわざ「キムタクはかっこいい」というワラントを述べる必要はありません。

※もちろん、ワラントを求められ時には、すぐに述べられるように準備しておかなければなりません。「ワラントをあえて省略する」のは、「ワラントがない」ということとはちがいます。

しかし、同じ日本人でも、おそらくキムタクを知らない人―たとえば、海外生活の長い人や芸能事情にうとい人など―が話し合相手、あるいは読み手である場合はワラントを説明しなければならなくなります。

また、例2を見てください。アメリカの成人にとって、「公民権法」はだれでも知っている法律です。ですから、常識のあるアメリカ成人を相手に話したり書いたりする 場合は、「公民権法は法律だ』というワラントは不要です。

しかし、同じアメリカ人でもまだ公民権法を知らない小学生や、外国人には、ワラントの説明が必要になります。

ちなみに、僕は日本人ですかがアメリカ研究者ですから、話している相手(あるいは書き手)がそのことを知っていれば、僕に対しても、このワラント省略されるでしょう。

このように、スピーキングの場合は相手、ライティングの場合は想定する読み手によって、ワラントがコンセンサスになるかどうかが決まります。




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よく「全訳を読んでも内容がさっぱりわからない」という人がいます。それは、書き手が前提としているワラントを共有できていないからです。背景知識が決定的に不足しているのですね。

入試評論では、ほとんどの場合、ワラントは省略されています。そして、議論の内容が高度になればなるほど、データは専門的になり、何より扱われるテーマについての背景知識(ワラント)がきわめて重要になってきます。実は、それこそが、理数科目や社会科目の勉強なのです。

今後、大切なテーマを取り上げ、キーワードとともにバックグラウンドの構築を図っていきます。

しかし、それと同時に、みなさんもさまざまな機会をとらえて、意識的にワラントを補給するよう心掛けてください。さまざまな機会といっても、特別な勉強は必要ないのです。

入試で取り上げられる文章はすべて『現代』をさまざまな角度から切り取って論じたものです。「現代とはいったいどんな時代なのか」―そのような目で、現代文や小論文で学んだこと、理科や社会で教わったことを、そのまま1つの大きなバックグラウンドとして、つないでいけばいいのです。

どうか英語を英語、現代文を現代文、小論文を小論文、理科・地歴を理科・地歴と別々にとらえるのではなく、『受験勉強』=『学問の準備』という『1つの科目』として、有機的につないで考えてください。

英語も現代文も、数学も理科も社会も、そして小論文も、すべては西洋由来の『学問』―『論理』を使って読み、書き、聞き、話すこと―のための準備です。そして、それらすべての基礎にあるのがロジックなのです。




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マトリョーシカ構造こそ、長文読解攻略のカギ! [英語長文]

今回も引き続き英語長文を使って説明します。

名詞節には[  ]、形容詞節には< >、副詞節には(  )の記号をつけなさい。

①If you want to know about America and want to be friends with its people,the idea of frontier is very important. ②The frontier was the historical experience unique to America, and it shaped the frontier spirit of Americans.③The vast wilderness that stretched beyond the West triggered their desire for freedom and higher living standards.④In the early seventeenth century,the frontier was a mere thin line along the East Coast.⑤A century later,it extended to the Appalachian Mountains.⑥ In the middle of the Mississippi River.⑦A generation later,it had moved to the Great Plains.⑧By the end of the nineteenth century,the United States had covered the North American Continent from the Atlantic to the Pacific.⑨The forces of frontier were exactly like bulldozers.


どうでしたか?またすこし慣れないかもしれませんが、英文のマトリョーシカ構造こそ、長文読解攻略のカギです。頑張ってください!


①(If you(S) ▼want(V) to know about America(O) and ▼want(V) to be friends with its people(O)),the idea of frontier(S) is(V) very important(C). ②The frontier(S) was(V) the historical experience unique to America(C), and it(S) shaped(V) the frontier spirit of Americans(O).③The vast wilderness(S) <that stretched(V) beyond the West(M)> triggered(V) their desire for ▼freedomand ▼higher living standards(O).④In the early seventeenth century(M),the frontier(S) was(V) a mere thin line along the East Coast(C).⑤A century later(M),it(S) extended(V) to the Appalachian Mountains(M).⑥ In the middle of the nineteenth century(M),the frontier(S) reached(V) the Mississippi Rive(O).⑦Ageneration later(M),it(S) had moved(V) to the Great Plains(M).⑧By the end of the nineteenth century(M),the United States(S) had covered(V) the North American Continent(O) ▼from the Atlantic ▼to the Pacific(M).⑨The forces of(S) frontier were(V) exactly(M) like bulldozers(C).



(訳) ①アメリカについて知り、アメリカ人と親しくなりたいとおもうなら、フロンティアという概念はきわめて重要である。②フロンティアは、アメリカだけの歴史的経験であり、アメリカ人のフロンティア精神を形成した。③はるか西に広がる広大な荒野は、彼らの自由とより高い生活水準を求める欲望の引金を引いた。④17戦記初頭には、フロンティアは東海岸沿いの細い線にすぎなかった。⑤その100年後には、それ(フロンティア)は、アパラチア山脈まで広がった。⑥19世紀半ばには、フロンティアは、ミシシッピ川にまで至った。⑦そのおよそ30年後には、それ(フロンティア)は、すでにグレート・プレーンズにまで動いていた。⑧19世紀の終わりまでには、アメリカ合衆国は大西洋から太平洋まで北米大陸を覆ってしまった。⑨フロンティアの勢いは、まさにブルドーザーのようであった。

Words and Phrases
・be friends with~ 「~と親しい;~と友達である」
・frontier 名詞 「フロンティア;西部開拓線」
・unique 形容詞 「唯一の;特有の」
・unique to~ 「~に固有の;~だけの」
・trigger 他動詞 「~の引金をひく」
・century 名詞 「世紀(100年)」
・thin 形容詞 「細い」⇔thick 形容詞 「太い」
・the Appalachian Mountains 「アパラチア山脈」(アメリカ合衆国東部の山脈)
・the Mississippi River 「ミシシッピ川」(アメリカ合衆国中西部のミネソタ州を源流とし、メキシコ湾へ注ぐ川。               アメリカ合衆国最長の川)
・generation 名詞 「世代(約30年)」
・the Great Plains 「グレート・プレーンズ」(北アメリカ大陸中西部の大平原)
・continent 名詞 「大陸」
・Atlantic 形容詞 「大西洋の」
・Pacific 形容詞 「太平洋の」
・bulldozer 名詞 「ブルドーザー」

今回は複文は①と③だけで、あとは単文ばかりなので、比較的読みやすかったのではないでしょうか?
では、①と3を見ておきましょう。まず①からです。



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SV連結詞 
  ↓
①(If you want to know about America and want to be friends with its people,the idea of frontier is very important).

ifがSV連結詞です。このifがつくる節(if節)をXに置き換えて取り去ってしまっても、主節の構造にはなんら問題ありませんということは?名詞節ではないということです。

では、直前に修飾する名詞は?ありません。
したがって、副詞節。そう判断できたでしょうか?
be friends with~というイディオムも覚えておきましょう。「~と親しい;~と友達である」という意味なのですが、目的語が単数でもfriendsと複数になります。

それから、if節のなかのandに注目してください。FANBOYS(という接続詞)ですね。FANBOYSは必ず、文法上対等な語・句・節をつないでいます。

このように、文中にFANBOYSが出てきた場合は、〇をつけ、それがつないでいるものに、▼をつけます。そのさい、必ず後ろからチェックしてください。後ろが不定詞なら、必ず前にも不定詞があり、後ろが~ingなら、必ず前にも~ingがあります。FANBOYSは、つなぐものが2つとはかぎりません。3つも4つも、場合によってはそれ以上のものをつなぎますから、必ず後ろからチェックする癖をつけてください。

①には、もう一つ、『同格のof』という、きわめて重要なポイントがあります。

      同格のof
          ↓
①・・・・the idea of frontier・・・・

このofは『同格のof』といって、of前後のideaとfrontierをイコールでつないでいます。「~という」と訳されます。

みなさんは、おそらく、すべてのofを「~の」で片づけてしまっていると思うのです。しかし、ofは『~の』だけではなく、『~という』『~が』『~を』の4つの用法があります。『ofの4用法』については、後日説明しますね。

さらにもう一点、its peopleのitsの「さすもの」も重要です。英語の指示語は、原則として『一番近い左側』にさすものをもっています。この場合、itsは「三人称」ですから、「一番近い左側にある三人称単数の名詞」をたどっていきます。すると、Americaに突き当たりますよね。それでいいのです。英語は意味ではなく、『形』で読む!。そのことを忘れないでください。

②のunique to Americaは、直前のthe historical experienceにかかる形容詞句です。

では、③を見てみましょう。


            SV連結詞
                  ↓
The vast wilderness(S) <that stretched(V) beyond the West(M)> triggered(V) their desire for ▼freedomand ▼higher living standards(O).

thatが入れ子をつくっています。that+VをXとして取り去ってしまっても、主節の構造(第3文型)には何も問題はありませんね。ということは、少なくとも名詞節ではありません。しかし、今度は直前にwildernessという名詞がありますね。そう、このthat節は形容詞節です。

また、FANBOYSのandが、freedomとhigher living standardsを並列につないでいます。andに〇、後ろのstandardsに▼、戻ってfreedomにXです。「freedomとhigher living standardsを求めるdesire」です。

そのほか、単語として気をつけてほしいのは、④⑤⑥のcentury『一世紀=100年』と⑦のgeneration『一世紀=100年』と⑦のgeneration『1世代=約30年』です。

よく間違って、使われますが、「世代」とは、「赤ん坊が大きくなって次の赤ん坊をつくるまで」の期間(約30年)のことです。ですから、大学の先輩が後輩に向かって、よく「俺らの世代は」と説教しているのは、じつは間違いなのですね(笑)。30歳離れていなければ、「世代間」とは言いません。

こうした表現はほかにもありますから、まとめておきましょう。


期間を表す単語

・a decade 「10年」   ・a generation 「約30年」→世代   ・a century 「100年」→世紀
・a millennium 「1000年」→「千年紀」【複数形】millennia

それから、⑧のfromとtoに▼をつけます。相関語句ですね。

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複文構造を見抜こう! [英語長文]

では、「習うより慣れろ」で、実際の英文で、複文構造を見抜く練習をしましょう。
ゆっくりでかまいません。時間を気にせず、取り組んでみてください。



名詞節には[  ]、形容詞節には< >、副詞節には(  )の記号をつけなさい。


①It is a universal phenomenon that men`s work is more important than women`s work.② According to Margaret Mead,whatever men do,people in primitive societies value men`s work more highly than women`s work.③ She says that this is true of developed societies. 4In fact,the United states has never had a female President.⑤ Likewise,Japan has never had a female Prime Minister.

(訳) ①女性の仕事よりも男性の仕事のほうが重要であるというのは、普遍的な現象である。②マーガレット・ミードによれば、男性が何をしようと、未開社会の人々は、男性の仕事を女性の仕事よりも高く評価する。③彼女は、このことは先進社会にもあてはまると言う。④実際、アメリカ合衆国は、一度も女性の大統領をもったことがない。⑤同様に、日本も一度も女性の首相をもったことがない。


Word and Phrases
・universal 形容詞「普遍的な」 ・phenomenon 名詞「現象」 【複数形】phenomena
・primitive  形容詞「原始的な・未開の」 ・be true of~ 「~にあてはまる」
・likewise 副詞「同様に・さらに」 ・Prime Minister 「首相・総理大臣」


どうでしたか?次のように、入れ子構造を見抜くことができましたか?1文がどんなに長くても、恐れることはありません。結局はマトリョーシカ人形のように、入れ子になった従属節が連なっているだけです。



①×(仮S)It is(V) a universal phenomenon(C) ×(真S)→[that men`s work(S) is(V) more important(C) than women`s work(M)].② According to Margaret Mead(M),<whatever men(S) do(V)>,people in primitive societies(S) value(V) men`s work(O) more highly than women`s work(M).③ She(S) says(V) [(O)→that this(S) is(V) true(C) of developed societies(M). ④In fact(M),the United states(S) has never had(V) a female President(O).⑤ Likewise(M),Japan(S) has never had(V) a female Prime Minister(O).




①は、It~thatの『仮S・真S』です。××の記号を付けておきましょう。××は『相関語』の目印としてつける記号です。

① ×It is a universal phenomenon ×[that men`s work is more important than women`s work].
                               ↑
[That men`s work is more important than women`s work] is a universal phenomenon.


本当は、したの文のように、that節がSとして文頭にあったのですが、長すぎるため、身代わりにitを置き、that節を後ろに回したわけです。
※というのが、学校文法のお決まりの説明ですが、実際は、このように、あえて長い主語を文頭に置く書き方を好む英語ネイティブも多くいます。

②のSV連結詞はwhateverです。これは、正式には『複合関係代名詞』と呼ばれるSV連結詞です。

複合関係詞の根本原理について後日説明します。今は、SVにwhateverという「何か」がついている、という『機能』=『働き』=『形』に目を向けてください。「複合関係詞がどうのこうの」という解説は、それからでいいのです。

③のthat節は、名詞のカタマリで、saysの目的語になっています。①のthat節と同じ名詞節なのですが、①のthat節は主語になり、③のthat節は目的語になっている、というちがいに気づきましょう。

実は、この③のthatを省略して、次のように書くことができます。

③She says this is true of developed societies.
       ↑
   thatが省略されている

・目的語節をつくるthatは省略できる

①のthatは目的語節をつくっているわけではないので、もちろん、省略できませんね。

本来、SVとSVは、SV連結詞がなければつなぐことはできません。ですから、目的語節をつくるthatが省略されると、「SV連結詞がないのに、1文にVが2つある」という、あってはならない「形」になることになります。

③She says this is true of developed societies.
  ↓    ↓
『SV連結詞』がないのに、Vが2つ!

省略できる接続詞は「目的語節をつくるthat」だけですから、それさえ知っておけば、何もこわくありません。

ちなみに、マーガレット・ミードは、「文化人類学の母」と呼ばれる人で、フェミニズム(のちのジェンダー論)を生んだ人としても有名です。『ジェンダー論』について後日説明しますね!

1970年代に亡くなっているのに、saysと現在形になっていますが、これは評論ではよくある書き方です。「本のなかでは生きている」と考えるのですね。



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・指示語のthisとthat=『前文の内容』

それから、指示語thisに注目してください。英語の指示語は、原則して「さすもの」が決まっています。日本語のように、訳してから「えーっと」と考えなければならないものではなく、『形』=『機能』から読んでいくことができるのです。

原則として、thisは『前文の内容』をさしています。例外は、thisの直後にコロン(:)やダッシュ―が続いた場合で、この場合は『直後の文の内容』をさしています。


・this →前文の内容をさす
・this: (コロンが続く場合) →直後の文の内容をさす
・this―(ダッシュが続く場合)→直後の文の内容をさす

客観問題であれ記述問題であれ、thisの内容を問うのは、下線部説明問題の定番中の定番です。ですから、thisを見たら必ず立ち止まり、『が』と『の』という2種類の助詞を使って、その内容を2通りでまとめます。

ふつうは「が」を使って、「~が・・・・・・こと」でまとめます。もっと短くまとめたい場合は、助詞「の」を使って、「~の・・・・」の体言止めでまとめます。この場合であれば、たとえば、次のようになるでしょう。


・女性の仕事よりも男性の仕事のほうが高く評価されるということ (「が」のまとめ)

・女性の仕事に対する男性の仕事の優位性 (「の」のまとめ)


やり方がわかっていても、いざ自分で書くとなると、なかなかうまくいかないものでしょう?このthisのまとめは、早く始めれば始めるほど、うまくなるものです。ただただ、練習あるのみです。

ちなみに、thatは、this以上に『前文』です。『前文』のない第1パラグラフ第一文に置かれた場合は別として、thatも『前文の内容』をさします。

残りの④と⑤は入れ子構造のない単文ですから、問題ないと思います。どちらも、現在完了形にになっていますね。


次回も、もう1つ問題やります! ਾ
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『入れ子』をつくるもの=SV連結詞 FANBOYSと従属接続詞 [英語長文]

みなさんがこれから相手にしていく英文は、一文がどんなに長くて複雑でも、必ず名詞節、形容詞節、副詞節からなる入れ子になっています。こうした入れ子構造のことを『複文構造』と呼びます。

SVが一つしかない(つまり入れ子が1つもない)文は「単文」です。一方、入れ子構造をもつ文は『複文』です。

でも、SVがいくつあろうが、入れ子をしまっていけば、1つのマトリョーシカ人形です。どんな複文でも、結局、単純な5文型に分類できるのです。

だからと言って、SVとSVは、けっして勝手に並べてはなりません。主節と従属節はは、必ず「何か」がつないでいます。先ほどの2つの文でも、従属節にはアタマに「何か」がついていましたね。その「何か」とは、列車で言えば「連結器」の働きをするものです。

そうした列車の連結器、いわば、『SV連結詞』の``横綱``が『接続詞』です。

接続詞とは、文字通り「SVとSVを接続させる語」です。文法用語のネーミングには、きちんとした意味があるのですね。


『接続詞はSV連結詞の‘‘横綱‘‘』


もちろん『SV連結詩』は、接続詞だけではありません。関係詞もあります。
『関係詞』はSV連結詞のいわば``大関``です。

また、『疑問詞』が従属節をつくることがありますし、じつは『比較構文』も複文です。

これらは、SV連結詞の``関脇‘‘や``小結``といったところでしょうか。

細かいことは、これからおいおい勉強していくことにして、とにかくSVのアタマに「何か」がついていたら、「SV連結詞ではないか?」「複文ではないか?」と思うクセをつけてください。

一文一文を「マトリョーシカ人形」だとみる『目』をもつこです。英語長文を攻略するうえで、この『目』をもつことこそ、一番大事なのです。


次は、従属接続詞について説明します!!


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ここで、ちょっと面倒なことを説明しておかなければなりません。実は「接続詞」には、『等位接続詞』と『従属接続詞』の2つがあるのです。どちらも、接続詞であることにちがいありません。

ただ、「つなぎ方」というか「つなぐもの」が決定的に異なっています。等位接続詞というのは、横綱中の横綱、超別格の‘‘大横綱``です。SV(節)とSV(節)をつなぐだけではなく、文法上対等なら、語と語をつなぐことも、句っと句をつなぐこともできます。

ここで、『句』とは何かについてですが、句とは、SVwを含まない語のカタマリのことです。やはり「SVを含まない名詞のカタマリ」⇒「名詞句」、「SVを含まない形容詞のカタマリ」⇒「形容詞句」、「SVを含まない副詞のカタマリ」⇒「副詞句」と呼びます。

では、その超別格の等位接続詞とは? それがFANBOYSです。


FANBOYSは対等な語・句・節なら何でもつなぐ‘‘大横綱‘‘


等位接続詞 FANBOYS

F⇒for A⇒and N⇒nor B⇒but O⇒or Y⇒yet S⇒so

この7つが、最強の‘‘大横綱‘‘7人衆です。

ただ、FANBOYSは、SVを連結しても、入れ子をつくりません。つまり、マトリョーシカ人形のなかに‘‘入れ子‘‘を入れていくのではなく、``マトリョーシカ人形そのもの``を横に並べていく接続詞だと考えてください。

したがって、従属節をつくる接続詞(従属接続詞)はFANBOYS以外の接続詞すべて、つまりwhen/where/if/as/because/though/whether/thatなどです。これらは‘‘入れ子‘‘の名詞節か副詞節をつくります。

従属接続詞(FANBOYS以外の接続詞)は、``入れ子‘‘の名詞節または副詞節をつくる


「従属接続詞」=「副詞節」といっていいほど、従属接続詞は圧倒的に副詞節を導きます。名詞節をつくることができる従属接続詞は、thatとwhetherとifの3つだけで、それら以外はすべて副詞節をつくります(that/whether/ifは副詞節をつくります)。

「あれ?」と思ったかもしれません。「形容詞節はどこにいったの?」と。

そう。従属接続詞は、名詞節か副詞節しかつくりません。

形容詞節をつくるのは、従属接続詞ではなく『関係詞』です。この機能は、関係詞の専売特許です。


次回は長文をつかって具体的に説明していこうと思います。
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英文は、マトリョーシカ構造! [英語長文]

それではここから、論理的に読む方法を体系的に学んでいきましょう。
この本では、一つの英文を『ミクロ』と『マクロ』の視点、つまり、『木のロジック』と『森のロジック』の両面から読むというまったく新しいアプローチを試みます。

『木のロジック』では、Reading Grammar『読解のための英文法』という視点から、従来型の縦割りの文法項目を総合する形で横断し、英文法の構造的・原理的理解を目指します。

おそらくみなさんは、学校や予備校で、おそろしいほどたくさんの細かい文法事項を丸暗記させられてきたと思うのです。

僕はこれから、それらの文法知識に、ぐさぐさと『横串』を打ち込んでいきます。

みなさんは、きっと聞いたこともない説明にとまどうでしょう。「もう、わけからん」と思うかもしれません。

でも、ゆっくりでかまいません。1つ1つ確実に理解を重ねていってください。

最後にみなさんが手にするのは、受験英語を斬り、大学で英語ネイティブと渡り合うStrong English『かつ英語』です。






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英文のマトリョーシカ構造

みなさんは、マトリョーシカ人形って知ってますか?

知らない人がいるので、説明しますと、胴体が上下2つに割れ、開けてみると、なかにまた人形が入っていて、それを割ると、また小さい人形が入っている、かわいらしい入れ子細工の人形です。

じつは、英文もこれと同じ『入れ子』の構造をもっています。
一見長く複雑に見える英文も、入れ子をしまっていけば、結局1つのマトリョーシカ人形になる。その仕組みは、実に単純、シンプルきわまりないものです。

たとえば、次の文を見てください。意味は考えなくてかまいません。

I(S) know(V) that he(S) is(V) right.

SVが2つあることに気づいていますか?

そして、もっとよく見てください。2つのSVのうち、1つには頭に「何か」がついています。

そうです。thatですね。

このように、頭に「何か」がついているSVを「従属節」と呼びます。これに対して、何もついていないSVが「主節」です。

マトリョーシカにたとえれば、主節が「人形全」で、従属節は「入れ子」です。従属節は、その頭についている「何か」を冠して、that節、which節、of which節などと呼ばれます。

入れ子になっているthat節をXに置き換えてみます。

I(S) know(V) X.

これが、この英文の基本構造です。何のことはない、要は、S+V+Oの第三文型だということです。このthat節は、Xという『名詞のカタマリ』となって、knowの目的語(O)になっているのですね。ですから、このthat節を『名詞節』と呼んでも、『目的語節(O節)』と呼んでも構いません。

英語長文をマスターするうえでは、「thatが文法的に何のか」などという分析よりも、that+S+Vを一つの『名詞のカタマリ』とみることがきわめて重要です。

むしろ、そのような目をもつことができれば、英語長文は半分以上攻略できているのです。
もう一度、さっきの文をよく見てください。このXを取り去ってしまうと、5文型が成立しなくなってしまいます。

このように、名詞節の特徴は、「それを取り去ってしまったら、5文型が成立しなくなる」ということです。名詞として働くということは、『主語』か『目的語』か『補語』になるということ。

どれが欠けても、文として成立しませんね。

英文の訳は「私は、彼が正しいということを知っている」です。

では、次の文はどうでしょう?

I(S) don`t know(V) the reason(O) why he(S) didn`t come(V).

やはり、2つのSVがあります。さっきと同じように、2つめのSVには「何か」がついていますね。

why以下をXに置き換えてみましょう。

I(S)don`t know(V) the reason(O) X.

今度は、Xを取り去ってしまっても、何も問題はありません。つまり、『形』から名詞節ではないと判断できるわけです。

この場合、X(why節)は、直前のreasonを修飾する「形容詞のカタマリ」になっています。「形容詞のカタマリ」ですから、『形容詞節』と呼びます。

英文の訳は、「私には、彼が来なかった理由がわからない』です。

では、次の文はどうでしょう?

If it(S)rains(V),I(S)won`t go(V).

やはり、2つのSVがあり、今度は最初のSVに「何か」がついています。


そうですね。Ifです。

If it rainsをXに置き換えてみます。

X,I(S)won`t go(V).

Xを消してしまっても、主節の5文型の構造には、なんらさしさわりがありません。ですから、少なくとも名詞節ではないと判断できますね。

では、さっきのように、直前に修飾すべき名詞は?ありません。このような場合は、ほとんど機械的に、『副詞節』と判断してかまいません。

英文の訳は、「雨が降ったら、私は行かないだろう」です。

副詞は、動詞を修飾したり、文全体を修飾したりする品詞ですね。副詞節は、そのような「副詞のカタマリ」として働く従属節です。従属節のなかでは、副詞節が最も多く、名詞節でも形容詞節でもないなら、すべて副詞節です。

従属節の『形』

・取り去ってしまったら文が成立しない⇒名詞節
・取り去ってしまっても文が成立する
         ↓
直前に名詞があるとき⇒形容詞節
直前に名詞がないとき⇒副詞節

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ロジックの出発点=『アイ』 [英語長文]

ロジックの出発点には「アイデンティティ」があります。「個」の意識であり、『自我』です。もっとはっきり言えば、IとYouです。

IとYouは、相手がだれであっても、変わることはありません。相手が親であれ、兄弟であれ、先生であれ、大統領であれ、また友人であれ、召使であれ、IはI、YouはYouです。

ところが、日本語には、そうしたアイデンティティを示す語がありません。
『私』は『僕』『おれ』『小生』『拙者』、そして『あなた』は『君』『お前』など、相手との関係によってさまざまに変化します。

そもそも、「私」は「公」に対することば、つまり公の場での呼称にすぎませんし、「あなた」は「此方(こなた)」=「こちら」に対する「彼方(あなた)」=「あちら」、つまり方向を示すことばでしかないのです。

英語ネイティブの峻烈な自我意識は、wholly other『絶対他者』と対峙し、パーソナルな関係を築くことから生まれます。wholly otherとは、Godのことです。

これに対して、日本人にとっての「神様」は、「100円お賽銭をあげるから、願いをかなえてくれ」と、気軽に頼める友達のような存在ですね。こうした『神』とGodは、決定的にちがいます。

英語ネイティブに「Godはどこにいますか?」とたずねると、まっすぐ垂直真上に腕をのばし、頭上をさします。絶対他者であるGodは、創造主であり、人間の主人です。都合のいい物々交換の取引など、できるはずがありません。

逆に、日本人が『神』と聞いて、『斜め上』=『雲の彼方』をイメージすることはあっても、垂直真上を仰ぐことは、おそらく日本人のキリスト教徒でもないはずです。





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Godは『絶対他者』=『永遠のYou』です。絶対に、人間はGodにはなれない。垂直真上から人間をじっと見つめるGodとパーソナルな関係を築いていくことこそが、彼にとっての信仰なのです。

おそらく、本当の意味での英語理解はここから始まるのではないかと、僕は思います。『絶対他者』としてのGodがわからないかぎり、ユダヤ・キリスト教文化圏を真に理解することはけっしてできないだろうと思います。

英語の世界では、みな一人一人がIです。そして、まわりはみな別のI=Youです。IとYouは、お互いにわかりあえない。そのIとYouが、ことばを尽くして説得し、互いに理解し合おうとする心の習慣がロジックなのです。

『察し』という特殊日本的な『心の習慣』に従っている以上、英語が読めないのは当たり前です。少なくとも英文を扱うときの『ロジック』の大切さをわかってもらえたでしょうか?

最後に、英語ネイティブと日本人の『心の習慣』を、それぞれ図にして整理しておきましょう。



英語 クレーム⇒データ⇒ワラント


日本語 データ ウソのデータ(タテマエ)であることもある⇒ワラント ‐‐‐‐‐(察し)‐‐‐‐‐⇒クレーム



日本語の『察し』は、とても美しく豊かなコミュニケーションです。しかし、ますます国際化する世界のなかで、いやおうなく他者と交わることを余儀なくされ、僕たちがもはや『察し』だけでは通用しない時代に生きていることも、また紛れもない事実です。グローバル時代の知的護身術として『三角ロジック』を身につけることは、まさに火急の課題と言えるのです。
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日常生活のなかで三角ロジックを使う [英語長文]

英語ネイティブは、子供のころから日常的にディベートをしています。
そんな英語ネイティブが、大学で学び、大学で学んで書いたものが、みなさんが読まなければならない英文なのです。ロジック武装が急務、ということです。

他人が書いたものを読めるようになるには、まず自分が「三角ロジック」をつかいこなせるようにならなければなりません。自分で発音できなければ、英語を聞き取ることができないのと同じです。ふだんから、ふと思いついた意見を、データ・ワラントを添えて論証する訓練をしてみてください。日本語でかまいません。

書店で「この本はおもしろそうだなぁ」と思ったとします。「どのようになぜおもしろそう?」なのでしょうか。それを論証してみるのです。たとえば、こんな具合です。

クレーム:「この本はおもしろそうだ」

データ:「冲方丁(うぶかたとう)の最新作だ」

ワラント:「自分の経験上、冲方丁の作品にハズレはない」



クレーム:「この本はおもしろそうだ」

データ:「平積みにされていて、ポップには『本屋大賞受賞作』と書いてある」

ワラント:「おもしろくなければ売れないし、書店も推さないはずだ」


まだまだ論証できますね。こうしたトレーニングを日常の生活で重ねていってください。それがそのまま、現代文、小論文のトレーニングになり、やがては大きな力となって、みなさんを支えてくれます。

さて、次回からは、いよいよ具体的なロジカルに読む方法を学んでいくわけですが、その前に、日本人の『心の習慣』について触れておきたいと思います。




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英語ネイティブの『心の習慣』が『ロジック』だとすれば、日本人の『心の習慣』は『プレ・ロジック』(前論理)です。「前論理」は、「非論理」ではありません。およそ「論理」とは次元を異にする、スーパー・コミュニケーションです。

日本研究では、Haragei(腹芸)として知られています。おなかに「へのへのもへじ」を書いて踊る宴会芸ではありません(笑)。「論理以前」の、いわばことばを超えたコミュニケーションです。僕は、これを「察し」と呼びたいと思います。

予備校の授業で配布したプリントが足りないとき、日本人の生徒は、「プリントが足りません」と言います。でも、よく考えたら、これは「足りない」という事実を述べているだけです。それなのに、先生はあたりまえのように足りない枚数文のプリントを渡します。これが、日本的な「察し」であり、Harageiです。

たとえば、松尾芭蕉の有名な俳句に、「古池や 蛙飛び込む 水の音」があります。この俳句も、ただ事実(データ)を述べているだけです。「古池に、カエルが飛び込む音がする』―英訳したら、味もそっけもなく、英語ネイティブには、なんのことやら、さっぱりわからないでしょう。

実は、この俳句は、英訳自体が不可能です。まず、カエルに冠詞がなく単複の区別もないため、1ぴきなのか数ひきなのか、わかりません。時制もまたしかりで、「飛び込んだ」のか「飛び込んでいる」のか「飛び込もうとしているのか」、とてもあいまいです。こうしたことからも、日本語が「察し」の言語であるということが、よくわかりますね。論理指標がまったくないのです。

いずれにせよ、和歌や俳句は、事実(データ)だけを伝えて、ことばにならない「わび・さび」の世界をHarageiで伝えるものです。詠み手の言い切れぬ情や感動を、Harageiで理解するのです。

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三角ロジックを使いこなそう! [英語長文]

さて、ここまで三角ロジックの説明をしてきたわけですが、これがそのまま、書かれた英文の基本構造になります。

「1パッセージ=1メッセージ」ということばがあります。パッセージというのは、1つのまとまった英文のことです。

「1パッセージ=1メッセージ」は「どんな英文でも、要するに、イイタイことはたった1つだ」という意味ですが、「その理由は?」となると、だれも納得のいく説明をしてくれないのです。

けれども、みなさんは、もうわかるはずです。筆者は、必ず何か「言いたいこと」があって、英文をつづるのです。

「言いたいこと」=「クレーム」です。クレームがあるということは、必ずデータとワラントがある。クレーム・データ・ワラントは三位一体であり、不可分のトライアングルです。

たとえば、さっきの三角を使って、文章をつくってみましょう。

クレーム:「一年のこの時期にしては、ちょっと暑すぎる」

データ:「26℃だ」

ワラント:「生理学説によれば、24℃を超えたら人は暑いと体感する」


実際にこんな文章を書くことはありえないでしょうが、理屈から言えば、次のようになります。


今日は5月五日のこどもの日だが、この時期にしては暑すぎる。実際、部屋の温度計は26℃をさしているし、朝からクーラーをかけなければならないほどだ。そういえば、大学の図書館で、ハーバード大学のポーリングという生理学者が、「24℃を超えたら、人は暑いと体感するものだ」と述べている本を読んだことがある。

このパッセージは、ただHow and why not?「どのように、なぜ暑いのか?」という論証責任を果たすためだけにつづられたものであり、クレームを除いた残りの部分はデータとワラントだということです。

では、英文がいくつものパラグラフに分かれているのはなぜでしょうか?それも、三角ロジックを使えば、きわめて明快に説明できます。


UFO is real. 「UFOは実存する」

これはもちろん、How and why real?「どのように、なぜ実存するのか?」という論証責任をもったクレームです。これに、Ichiro saw one.「イチローが見た」というデータをあげるとすると、ワラントにはどんな「根拠」が必要でしょうか?「UFOは実存する」というクレームと「イチローが見た」というデータは、どうすればつながりますか?

この場合のワラントは、おそらく1つしかありません。Ichiro is honest.「イチローは正直だ」です。
イチローが嘘つきな人なら、データの信憑性がなくなってしまいますからね。

ずっと以前、この例を使って三角ロジックの説明をしたところ、「英語ネイティブは、バカなのか。『イチローが見たから』なんていう子供だましの理由で、UFOを信じるのか」という、びっくりするような批判をうけたことがあります。(しかも。やっかいないことに、こちらが同じ土俵にたてるはずのない、無責任な匿名の掲示板で)。

もちろん、ちがいます。どんなに陳腐な子供だましの理由でも、「三角ロジックが成り立っているかぎり、その人のクレーム(意見)として、認め、尊重しよう」というのが、「ロジック」=英語ネイティブの「心の習慣」です。

そして、それこそが、本当の「言論の自由」です。
真の民主主義社会において、責任を伴わない自由などありません。「責任」と「自由」は、車の両輪です。
「言論の自由」とは、「論証責任を果たすこと」を条件に、初めて認められるものです。

なんでも思うことを言えばいい、というのではないのです。

「UFOは実存する」という意見を認めたうえで、それでも「UFOなんていない!」と思うのなら、それをロジカルに論証すればいいだけの話です(「どのように、なぜいないのか?」という論証責任を負うことになります)。ディベートは「どちらのクレームが正しいか」ではなく(そもそもそれは主観なのですから不可能で)、論証プロセスの優劣を競うものです。

ちなみに、このUFO is real.の命題と、X saw one. He[she] is honest.の論証は、英語ディベートの入門書に出てくる例題とモデル解答です。けっして僕の都合の良い独創ではありません。

批判することも言論の自由ですから、もしそれが正当(論理的)であるなら、自分を高めてくれるものとして大歓迎します。しかし、こうしたきわめて日本的で見当はずれな批判は、少なくとも英語を扱う際には控えるべきでしょう。



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さて、これで三角ロジックが成立したわけですが、よく見ると、ワラントのIchiro is honest.「イチローは正直だ」に、How and why honest?「どのように、なぜ正直か?」という新しい論証責任が生じてしまっています。
ですから、ここも論証しなければなりません。

クレーム:UFO is real. 「UFOは実在する」

How and why?

データ:Ichiro saw one.「イチローが見た」

ワラント:Ichiro is honest.「イチローは正直だ」

How and why?

こうして第二パラグラフができるのです。もちろん、第2パラグラフのデータやワラントに新しい論証責任が生まれれば、また別にパラグラフをつくって論証しなければなりません。

ときには、1つのパラグラフのなかで複数の論証責任が生じてしまうこともあります。
その場合は、それぞれにパラグラフをつくって、連ねなければなりません。
そして、すべての論証責任を果たして終えて、ようやく英文(パッセージ)は完成するのです。

この論旨であれば、クレーム「UFOは実在する」とデータ「イチローが見た」を第一パラグラフで述べ、ワラント「イチローは正直だ」は、第2パラグラフで独立して扱うことになります。実際に文章を作ってみると、こんな感じです。

最近、UFOの真偽についての議論がかまびすしいが、僕は、本当に存在すると思う。先日、僕の親友であるイチローは、学校からの帰宅途中、聖橋のたもとでUFOを目撃した。彼の話では、西の空にオレンジ色の物体がジグザグに飛行したかと思うと、突然姿を消した。このあたりは飛行機の空路ではないし、けっして鳥や隕石でもなかったと言う。ふだんは冷静沈着なイチローがめずらしく興奮して、僕の携帯に電話をかけてきた。急いで僕も現場に駆けつけ、2人で一時間ばかり待ってみたが、もうその物体が現れることはなかった。

野球部の部長で、高校の生徒会長も務めるイチローは、本当に生真面目な男で、けっしてウソなどつく人間ではない。僕は、高校生になって初めてイチローと知り合ったのだが、彼がウソをつくのを一度も聞いたことがないし、彼の幼なじみの連中は、「イチローは『バカ』がつくほど正直だ」と口をそろえる。そのときのイチローも真剣そのもので、僕は本当に彼がUFOを見たのだと信じている。

わかるでしょうか?これがロジカルな文章です。
三角ロジックの原理を知らずにこの文章を読み、その主旨を問われたら、おそらくほとんどの人が「イチローのUFO目撃談」や「イチローの誠実さ」、あるいは「私の親友イチローについて」などと答えてしまうのではないでしょうか。しかし、それらはいずれも、膨大なデータやワラントに振り回されてしまった間違いです。

ロジカルに書かれた文章では、筆者は、必ず1つのクレームをめぐって講義を展開しています。どれほど長い文章であっても、原理的には1つのクレーム(大きいクレーム)をめぐってつづられています。

それぞれのパラグラフにもクレーム(小さいクレーム)があり、それらは、それぞれに密接な連関をもって、大きいクレームを論証しようとしています。
各パラグラフの小さいクレームが重層的にからみあい、文章全体の大きいクレームを論証しようとしているわけです。

膨大なデータやワラントに振り回されずに英文の論理構造を追っていくことこそが、真にネイティブのように英文を読むということです。やみくもに速く読んだり、「拾い読み」したり、「直読直解」したりすることではないのです。


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