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人によって『分かった』の基準は違う・・・・? [勉強の向きあい方]

基本的に、人は情報に『量』と『質』の2つの面から接します。

少なくとも、日本の教育においては圧倒的に『量』の方に重点が置かれているように思われます。

これは、『最低限の知識』を身につける小・中学校においては特に問題はないのですが、高校においても『量』の方に重点が置かれている面が大きいのです。

例えば、多くの日本人が『頭の良し悪し』を判断する典型的な基準が『学歴』ですが、日本の教育では「大学入試レベル」においても、主に『どれだけ多くの事柄を覚えることが出たのか』が評価の対象になっています。

つまり、大学入試でも、あまり『質』は要求されていなくて、「なんとなくわかった」というようなレベルで問題が解けてしまう場合も多いのです。

そのため、多くの受験生は、表面的な理解のままでも大学に受かってしまっているのです。

このように、あまり『質』が問われない社会においては、多くのことが「いい加減」に済まされることになってしまいます。

象徴的な例として、本来、最も『質』が要求されるはずの『ニュース番組』でさえ、『表面的』で『思い込み的』な解説やコメントが流されることがよくあります。

たとえば、一部のニュース番組のなどで、『日本の財政はすでに破綻している」というような表現がよく使われたりしていますが、何をもってそのように決めつけているのでしょうか?

日本の国の借金の水準が「先進国でワースト1」だからなのでしょうか?

ここで確認すべきことは、そもそも『国の財政破綻」とは、どういうことなのかという「基本事項」です。

たとえば、『日本の財政はすでに破綻している」と言っている人に『では、国が破綻するとは具体的にどういうことですか?」という基本的な質問をすると、彼らはキチンと答えることはできないはずなのです。

なぜなら、日本の財政が破綻しているのかどうかは「日本の国債の格付けや利回り」などを見ればわかるのですが、現実の日本の財政は、まだまだ現時点では『破綻』とは程遠い状況だからです。

このような初歩的な「経済の基礎」すら確認しないで、『とにかく国の借金の状態がヒドイから、すでに破綻しているはず!』というような『思い込み』だけで平然と『日本の財政はすでに破綻している』と解説してしまっているのです。

そして、それを多くの人たちが、イメージだけで信じ込んで『わかったつもり』になってしまっている現状があるのです。

実は「勉強」において一番問題になるのは、まさに、わかったつもりなのです。

わかったつもりになってしまうと、その時点で思考が停止してしまうからです。その結果、せっかく知識が得られても、中途半端な誓いのままで終わってしまうことになり、『応用が利かない知識』になってしまうのです。

では、わかったつもりにならないようにするには、どうすればいいのでしょうか?

この『わかったつもり』から抜け出すには、まずは『わかったの基準の違いを知る必要があります。

僕の経験上、『人によって『分かった』の基準がかなり違う』ということです。

例えば、先生が10のことを説明した時に、1だけしか分かっていない状態なのに、『すべてわかった』と思い込んで『分かった』と言う人がいます。

そして、同様に2までしか分かっていない状態なのに『分かった』と言う人もいます。

つまり、10人いたら、10通りの『分かった』が存在して、10人がすべて「分かった」といっていても、正確に情報を理解し、本当の意味で『分かっている』のは実は1人だけしかいなかったりするのです。

このような『分かったの基準の違い』という視点を踏まえて考えると、いかに人が『分かったつもり』になりやすいのかを認識しやすくなのです。

その結果、自分の『分かった』を疑うことができるようになって『より深い理解』を心がけるように変われるので、分かったつもりから抜け出しやすくなるのです、

ちなみに、教える側がこの『分かったの基準の違い』という視点に気づいている場合は、とても少ない現実もあり、たいていは、生徒は『わかった』というとき、多くの教師は『10の事柄が伝わった』と思い込んでしまっている面もあるのです。

つまり、教育の『質』を上げていくためにも、この『分かったの基準の違い』についての理解が必要不可欠なのです。

では、ここで、分かったつもりから抜け出すテクニックについて、具体的に解説することにしましょう。

結論から言うと、『分かったつもり』から抜け出すには、次のように『数学的思考力』と『思考の歩幅』の2つをおさえる必要があるのです!それは・・・・・・・







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◆わかったつもり◆から抜け出すための必要事項
①『数学的思考力』を身につける
②『思考の歩幅』を理解する


では、まずは前回話した『数学的思考力』について解説することにしましょう。

まず、『数学的思考力』とは、『物事の仕組みを一つひとつ整理して考えることができる能力』のことで、まさに数学を勉強する際に身につけられる思考力のことです。

たとえば、ニュースなどで『円高ドル安になると、日本の輸出企業が不利になる』ということが「当たり前」のように伝えられていますが、これは多少、論理(=考える道筋)が飛んでいます。

なぜなら、決して誰にとっても明らかという訳ではないからです。

そこで、誰にとっても分かるようにするためには、下記に、その理由をもう少し詳しく段階的に整理していく必要があるのです。


           円高ドル安になる
                ↓
           [          ]
                ↓
           [          ]
                ↓
        日本の輸出企業が不利になる


このように『話の段階を、順を追って整理していく図』のことを『フローチャート』と言います。


つまり、『数学的思考力』とは、簡単なイメージとしては、『情報をフローチャートにまとめることができる能力』と言うこともできます。

では、ここで実際に『数学的思考力』を磨く簡単な練習をしてみましょう!!


問題1 『円高ドル安になると、日本の輸出企業が不利になる』という論理を、子供にも理解できるように、先ほどのイラストのフローチャートで完成させてみてください。 (制限時間2分)




さて、論理を分かりやすく整理できたでしょうか?


これは、いわゆる「正解」があるわけではないのですが、たとえば僕なら次のように説明します。

まず、『円高ドル安になる』ということは円の価値が上がって、ドルの価値が下がるということだから、「円高ドル安になる」と『アメリカ人が日本製品を買う場合は、いつもよりも多くのドルを払わなければならなくなる』のです。

その結果、
『アメリカ人はあまり日本製品を買ってくれなくなる』ので、『日本の輸出企業が不利になる』のです。


フローチャートにまとめますと・・・・


                        円高ドル安になる
                             ↓
アメリカ人が日本製品を買う場合は、いつもよりも多くのドルを払わなければならなくなる
                             ↓
                アメリカ人はあまり日本製品を買ってくれなくなる
                             ↓
                    日本の輸出企業が不利になる



では、引き続き、次の問題を考えることで『数学的思考力』を磨く簡単な練習をしてみましょう。


問題2 『原油価格が上がれば、日本車が売れる』という論理を、子供にも理解できるように、次のフローチャートで完成させてみてください。 (制限時間2分)

               
                  原油価格が上がる
                       ↓
                  [           ]
                       ↓
                  [           ]
                       ↓
                   日本車が売れる


さて、論理を分かりやすく整理できたでしょうか?

これも、いわゆる「正解」があるわけではないのですが、たとえば僕なら次のように説明します。

まず、『原油価格が上がる』ということは、原油を原料とする『ガソリンなどのエネルギーの価格も上がる』ということだから、『車に乗るとこれまで以上にお金がかかり大変になってしまう』のです。

その結果、『できるだけ燃料の効率のいい車を求める人が増えることになる』ので、『燃費のいい日本車が売れる』のです。


フローチャートでまとめますと・・・・

                          原油価格が上がる
                                ↓
              車に乗るとこれまで以上にお金がかかり大変になってしまう
                                ↓
              できるだけ燃料の効率のいい車を求める人が増えることになる
                                ↓
                        燃費のいい日本車が売れる
         

このように、普段から論理的に考える習慣を身につけておけば、物事を一つひとつ整理して正しく理解することができるため、『分かったつもり』から抜け出すことができるだけでなく、人に話をするときにはキチンと一つひとつ順を追いながらわかりやすく話ができるようにもなるのです。


では、実際に『分かったつもり』になっていないかを確認するには、具体的にはどうしたらいいのでしょうか?


これは、一言で言うと、『自分の理解度』を他人(できれば子供!)を通してチェックしてみればいいのです!

なぜなら、自分が本当に理解できているのなら、相手が子供であっても、キチンと一つ一つ順を追いながら分かりやすく話ができるはずだし、『たとえ話』を使ったりしてキチンと理解させることができるはずだからです。

つまり、『人にキチンと説明できる』という状態になって初めて『分かった』と言うことができるのです!


このように、『分かる』というのは『伝えられる』ことと同じである必要があるのです。

一般に、誰かに何かを説明する際に、もしもその説明がわかってもらえない場合には、自分を責めずに『聞いている側の頭が悪い!』と判断してしまいがちです。

しかし、このような考え方をしていると、自分の理解の曖昧な点が見えないまま終わってしまうし、いつまでたっても『分かったつもり』から抜け出せないため、『人に理解してもらえる話』ができるようにはなりません。

『人に理解してもらえる話』ができるためには、まずは『自分の理解度』をより高めていく必要があるのです。

もしも相手に通じなかったり、『なんとなくわかった』と言われる程度だったら、自分の思考のどこかに問題があるはずなのです。

こうした事実を謙虚に受け止め、自分の『分かったつもり』を発見していけばいいのです。

以上のように、『分かる』と『伝えられる』を同じにするために、自分の理解を人に説明してみるという「トレーニング」を日常生活の中で行うことで、『自分がわかっていない』ということに気づくことができ、自然に『分かったつもり』から抜け出せるようになるのです!

ちなみに、日本の教育は、世界的に見て『自分の考えを人に伝える力』を養うことができていないとよく指摘されています。

実は、まさに今回の『分かる』と『伝えられる』を同じにするという習慣を身につけることは、この『自分の考えを人に伝える力』を養うことに他ならないのです。

つまり、自分の考えを人にわかりやすく説明できるように努力し続けることで、自然と『世界に通用する能力』を身につけることができるようにもなるのです。
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