ロジックの基本は、演繹型・帰納型・反論型の三パターン [英語長文]
スポンサードリンク
あらためて確認すると、ほとんどの英文では、ワラントは読み手とのコンセンサスとして、省略されてしまっています。
したがって、実際に読み取らなければならないのは、論文を構成しているたった1つのクレームと、それを論証しようとするデータです。
実際の論文では、三角ロジックは、基本的に次の3つのパターンで応用されます。
三角ロジックの基本的な運用パターン
①演繹型(正三角形):クレーム⇒データ
②帰納型(逆三角形):データ⇒クレーム
③反論型(ひし型):対立命題⇒クレーム⇒データ
1つのパラグラフには、原則として1つの「イイタイコト」=「クレーム」が含まれています。
①の『演繹型』は、そのクレームを第1文に置くパターンです。いわば正三角形のロジックであり、英語では最も多い論理展開です。
②の『帰納型』は、クレームを最終文に置く逆三角形のパターンです。
③の『反論型』は、本来なら演繹型のバリエーションとして分類すべきなのですが、ここではわかりやすく、あえて別の型とします。最初に『対立命題』をかかげ、それに反対する形で議論を進めていくパターンです。途中にクレームを置く、いわばひし形の論理展開です。
今回は演繹型をしっかり学習することにしましょう!
すでに述べたように、演繹型は英語で最もポピュラーな論理展開です。ですから、パラグラフ・リーディングの本などでは、『第1文がトピック・センテンス(主題文=イイタイコト)であることが多い』などと説明されているのですが、クレームになるためには厳密な条件が必要です。前に『論証責任』の定義を学びましたよね?
ただし、クレームになるためには、さらに2つの条件があります。
クレームになるための2つの条件
①現在形であること
②スケルトンに論証責任があること
①のとおり、クレームは『現在形』で述べられていなければなりません。日本語では、『英語は私には難しかった』など、過去形を使って意見を述べることがよくあります。
しかし、英語では、so what?『だから何?』と一蹴されてしまいます。
英語では、過去形はクレームを述べるための『足踏み』にすぎません。「だからなんなのか?」。「しかし今は簡単だと思う」のか、「だからフランス語の方がいいと思う」のか、今はどう思っているのか・・・・・それを述べなければならないということです。
②の条件の『スケルトン』とは『骨子;骨格』などという意味で、具体的には従属節や副詞句を除いた部分のことです。次の英文ならどうでしょう。
(A) Mac is better than Windows. 「マックはウィンドウズよりよい」
(B) My father says that Mac is better than Windows. 「父は、マックはウィンドウズよりよいという」
(A)はもちろん、How and why better?「どのように、なぜいいのか?」を論証責任とするクレームになります。
ところが、(B)の場合は、My father saysの部分がスケルトンですから、クレームにはなりません。「私の父がそう言っている」と、ただ事実(データ)だけを述べています。
クレームかどうかを判断するためには、英文のスケルトンがわからなければなりません。そのためにも、今回の講義の「木のロジック」で学んだ複文構造はとても大切です。必ずしっかり見極められるようになりましょう。
次は、レトリック=データの出し方に関して説明します!
スポンサードリンク
英文にはたった1つの「イイタイコト」=「クレーム」があり、残りの部分はすべてそれを論証するためのデータ(具体例)です。
そのデータのあげ方、つまり論証パターンのことを『レトリック』と呼びます。レトリックには、次のようなパターンがあります。
実際の英文では、1つのレトリックを単独で用いるということはめったになく、いくつかのレトリックを組み合わせて用います。
レトリック(データのあげ方)のパターン
①エピソード ②列挙 ③定義・分類 ④因果関係 ⑤引用 ⑥時系列 ⑦対比・対象 ⑧比喩
①の『エピソード』は、自分自身の体験談や第三者のエピソードを物語風に述べるレトリックです。
②の『列挙』は、複数のデータを列挙するレトリックです。同じワラントから複数のデータを引き出すこともあれば、データそれぞれに、異なるワラントを用意しなければならないこともあります。
③の『定義・分類』は、「『便利』とは『早い』ということ」というふうに、自分なりの定義を与えるレトリックです。
④の『因果関係』は、why-becauseとも呼ばれます。文字通り、因果関係を説明するレトリックです。
⑤の『引用』は、議論のテーマとなっている分野の第一人者の見解を引用して、自分の考え(クレーム)を強化するもので、学術論文では最もポピュラーなレトリックです。引用元が権威ある学者の見解であればあるほど、クレームの説得力は増します。
⑥の『時系列』は、過去から現在に至るまで、経緯や歴史をたどって説明するレトリックです。
⑦の『対比・対照』は、対照的なデータをあげて比較するレトリックです。
⑧の『比喩』は、たとえを用いるレトリックです。比喩には、『隠喩』(メタファー)と『直喩』の2つがあります。
「瞳はダイアモンド」のように、ダイレクトに言い切ってたとえるのが隠喩。「ダイアモンドのようにきれい」のように、もって回ってたとえるのが直喩です。
なぜか日本語では、隠と直のイメージが逆になっています。「隠喩」も「直喩」も明治時代にうまれた訳語ですが、もうすこしうまい訳し方はなかったのでしょうか。
ちなみに、隠喩は、使われる場所によってはクレームになります。隠喩がデータになったりクレームになったりするのは、法助動詞や相対的形容詞が用いられる場所によってクレームになったりデータになったりするのと同じです。ただし、直喩はクレームをつくりません。
ここまでのまとめをしておきましょう。
実際の入試英文では、ワラントは、ほぼ筆者と読者のあいだのコンセンサス(背景知識)として省略されています。ですから、読み取らなければならないのは、筆者のクレーム(主張・意見)とデータ(レトリック)です。
つまり、ロジカルに読むとは、英文のクレームをおさえながら、その論証(How and why?)を追っていく作業ということになります。
このように言うと、わけなく聞こえますが、問題はレトリックの読み取りです。
実際の英文では、howだけが論証されたり、whyだけが論証されたり、あるいは両方が別々のパラグラフで論証されたりと、さまざまです。
論証責任によっては、howとwhyが結局同じことだったりします。
つまり、クレームを見つけた段階で、それがどのように論証されるか―どんなデータがあがるか―を予測することはできません。論証責任がどのように果たされるかは、レトリックしだいだということです。
スポンサードリンク
あらためて確認すると、ほとんどの英文では、ワラントは読み手とのコンセンサスとして、省略されてしまっています。
したがって、実際に読み取らなければならないのは、論文を構成しているたった1つのクレームと、それを論証しようとするデータです。
実際の論文では、三角ロジックは、基本的に次の3つのパターンで応用されます。
三角ロジックの基本的な運用パターン
①演繹型(正三角形):クレーム⇒データ
②帰納型(逆三角形):データ⇒クレーム
③反論型(ひし型):対立命題⇒クレーム⇒データ
1つのパラグラフには、原則として1つの「イイタイコト」=「クレーム」が含まれています。
①の『演繹型』は、そのクレームを第1文に置くパターンです。いわば正三角形のロジックであり、英語では最も多い論理展開です。
②の『帰納型』は、クレームを最終文に置く逆三角形のパターンです。
③の『反論型』は、本来なら演繹型のバリエーションとして分類すべきなのですが、ここではわかりやすく、あえて別の型とします。最初に『対立命題』をかかげ、それに反対する形で議論を進めていくパターンです。途中にクレームを置く、いわばひし形の論理展開です。
今回は演繹型をしっかり学習することにしましょう!
すでに述べたように、演繹型は英語で最もポピュラーな論理展開です。ですから、パラグラフ・リーディングの本などでは、『第1文がトピック・センテンス(主題文=イイタイコト)であることが多い』などと説明されているのですが、クレームになるためには厳密な条件が必要です。前に『論証責任』の定義を学びましたよね?
ただし、クレームになるためには、さらに2つの条件があります。
クレームになるための2つの条件
①現在形であること
②スケルトンに論証責任があること
①のとおり、クレームは『現在形』で述べられていなければなりません。日本語では、『英語は私には難しかった』など、過去形を使って意見を述べることがよくあります。
しかし、英語では、so what?『だから何?』と一蹴されてしまいます。
英語では、過去形はクレームを述べるための『足踏み』にすぎません。「だからなんなのか?」。「しかし今は簡単だと思う」のか、「だからフランス語の方がいいと思う」のか、今はどう思っているのか・・・・・それを述べなければならないということです。
②の条件の『スケルトン』とは『骨子;骨格』などという意味で、具体的には従属節や副詞句を除いた部分のことです。次の英文ならどうでしょう。
(A) Mac is better than Windows. 「マックはウィンドウズよりよい」
(B) My father says that Mac is better than Windows. 「父は、マックはウィンドウズよりよいという」
(A)はもちろん、How and why better?「どのように、なぜいいのか?」を論証責任とするクレームになります。
ところが、(B)の場合は、My father saysの部分がスケルトンですから、クレームにはなりません。「私の父がそう言っている」と、ただ事実(データ)だけを述べています。
クレームかどうかを判断するためには、英文のスケルトンがわからなければなりません。そのためにも、今回の講義の「木のロジック」で学んだ複文構造はとても大切です。必ずしっかり見極められるようになりましょう。
次は、レトリック=データの出し方に関して説明します!
スポンサードリンク
英文にはたった1つの「イイタイコト」=「クレーム」があり、残りの部分はすべてそれを論証するためのデータ(具体例)です。
そのデータのあげ方、つまり論証パターンのことを『レトリック』と呼びます。レトリックには、次のようなパターンがあります。
実際の英文では、1つのレトリックを単独で用いるということはめったになく、いくつかのレトリックを組み合わせて用います。
レトリック(データのあげ方)のパターン
①エピソード ②列挙 ③定義・分類 ④因果関係 ⑤引用 ⑥時系列 ⑦対比・対象 ⑧比喩
①の『エピソード』は、自分自身の体験談や第三者のエピソードを物語風に述べるレトリックです。
②の『列挙』は、複数のデータを列挙するレトリックです。同じワラントから複数のデータを引き出すこともあれば、データそれぞれに、異なるワラントを用意しなければならないこともあります。
③の『定義・分類』は、「『便利』とは『早い』ということ」というふうに、自分なりの定義を与えるレトリックです。
④の『因果関係』は、why-becauseとも呼ばれます。文字通り、因果関係を説明するレトリックです。
⑤の『引用』は、議論のテーマとなっている分野の第一人者の見解を引用して、自分の考え(クレーム)を強化するもので、学術論文では最もポピュラーなレトリックです。引用元が権威ある学者の見解であればあるほど、クレームの説得力は増します。
⑥の『時系列』は、過去から現在に至るまで、経緯や歴史をたどって説明するレトリックです。
⑦の『対比・対照』は、対照的なデータをあげて比較するレトリックです。
⑧の『比喩』は、たとえを用いるレトリックです。比喩には、『隠喩』(メタファー)と『直喩』の2つがあります。
「瞳はダイアモンド」のように、ダイレクトに言い切ってたとえるのが隠喩。「ダイアモンドのようにきれい」のように、もって回ってたとえるのが直喩です。
なぜか日本語では、隠と直のイメージが逆になっています。「隠喩」も「直喩」も明治時代にうまれた訳語ですが、もうすこしうまい訳し方はなかったのでしょうか。
ちなみに、隠喩は、使われる場所によってはクレームになります。隠喩がデータになったりクレームになったりするのは、法助動詞や相対的形容詞が用いられる場所によってクレームになったりデータになったりするのと同じです。ただし、直喩はクレームをつくりません。
ここまでのまとめをしておきましょう。
実際の入試英文では、ワラントは、ほぼ筆者と読者のあいだのコンセンサス(背景知識)として省略されています。ですから、読み取らなければならないのは、筆者のクレーム(主張・意見)とデータ(レトリック)です。
つまり、ロジカルに読むとは、英文のクレームをおさえながら、その論証(How and why?)を追っていく作業ということになります。
このように言うと、わけなく聞こえますが、問題はレトリックの読み取りです。
実際の英文では、howだけが論証されたり、whyだけが論証されたり、あるいは両方が別々のパラグラフで論証されたりと、さまざまです。
論証責任によっては、howとwhyが結局同じことだったりします。
つまり、クレームを見つけた段階で、それがどのように論証されるか―どんなデータがあがるか―を予測することはできません。論証責任がどのように果たされるかは、レトリックしだいだということです。
スポンサードリンク
コメント 0