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学問とは、論理を使って読み、書き、聞き、話すこと [英語長文]

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それでは、ここからは、鳥になって宙高く舞い上がり、英文全体の「論旨」=「森のロジック」を見てみることにしましょう。

前に三角ロジックについて説明しましたが、それにもう一つ追加しておさえておきたことがあります。
それは、「データの内容が社会的なコンセンサス(合意事項)である場合、ワラントは省略される」というルールです。

たとえば、次の2つの例を見てください。

例1
クレーム:『彼はかっこいい』

データ:『キムタクに似ている』

ワラント:『キムタクはかっこいい』

例2
クレーム:『黒人差別はよくない』

データ:『公民権法に反する』

ワラント:『公民権法はみなが従うべき法律である』



例1の場合、『キムタクはかっこいい』ということは、おそらく現代の日本人にとっては、全世代のコンセンサス(合意事項)でしょう。

ですから、話し相手が日本人である場合、あるいは日本人読者を想定して文章を書いている場合、わざわざ「キムタクはかっこいい」というワラントを述べる必要はありません。

※もちろん、ワラントを求められ時には、すぐに述べられるように準備しておかなければなりません。「ワラントをあえて省略する」のは、「ワラントがない」ということとはちがいます。

しかし、同じ日本人でも、おそらくキムタクを知らない人―たとえば、海外生活の長い人や芸能事情にうとい人など―が話し合相手、あるいは読み手である場合はワラントを説明しなければならなくなります。

また、例2を見てください。アメリカの成人にとって、「公民権法」はだれでも知っている法律です。ですから、常識のあるアメリカ成人を相手に話したり書いたりする 場合は、「公民権法は法律だ』というワラントは不要です。

しかし、同じアメリカ人でもまだ公民権法を知らない小学生や、外国人には、ワラントの説明が必要になります。

ちなみに、僕は日本人ですかがアメリカ研究者ですから、話している相手(あるいは書き手)がそのことを知っていれば、僕に対しても、このワラント省略されるでしょう。

このように、スピーキングの場合は相手、ライティングの場合は想定する読み手によって、ワラントがコンセンサスになるかどうかが決まります。




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よく「全訳を読んでも内容がさっぱりわからない」という人がいます。それは、書き手が前提としているワラントを共有できていないからです。背景知識が決定的に不足しているのですね。

入試評論では、ほとんどの場合、ワラントは省略されています。そして、議論の内容が高度になればなるほど、データは専門的になり、何より扱われるテーマについての背景知識(ワラント)がきわめて重要になってきます。実は、それこそが、理数科目や社会科目の勉強なのです。

今後、大切なテーマを取り上げ、キーワードとともにバックグラウンドの構築を図っていきます。

しかし、それと同時に、みなさんもさまざまな機会をとらえて、意識的にワラントを補給するよう心掛けてください。さまざまな機会といっても、特別な勉強は必要ないのです。

入試で取り上げられる文章はすべて『現代』をさまざまな角度から切り取って論じたものです。「現代とはいったいどんな時代なのか」―そのような目で、現代文や小論文で学んだこと、理科や社会で教わったことを、そのまま1つの大きなバックグラウンドとして、つないでいけばいいのです。

どうか英語を英語、現代文を現代文、小論文を小論文、理科・地歴を理科・地歴と別々にとらえるのではなく、『受験勉強』=『学問の準備』という『1つの科目』として、有機的につないで考えてください。

英語も現代文も、数学も理科も社会も、そして小論文も、すべては西洋由来の『学問』―『論理』を使って読み、書き、聞き、話すこと―のための準備です。そして、それらすべての基礎にあるのがロジックなのです。




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